お正月飾りはいつから飾る?門松やしめ縄の持つ意味と正しい飾り方、処分方法まで解説
クリスマスが終わると街はがらりと雰囲気を変え、一気に和のお正月ムードへ変わります。
大掃除を終えてお正月飾りを飾ると、背筋がピンと伸びるような、神聖な気持ちになるから不思議なものですよね。
しかしそのお正月飾り、正しく飾れていますか?
いつから飾るのか、どこに飾ればよいのかなどを知らずに、なんとなく飾っている方も少なくありません。
実はお正月飾りには正しい飾り方があり、そこにはきちんとした意味や理由もあります。
飾り方のルールをないがしろにせず、きちんと守ることで、より清々しい気持ちでお正月を迎えられるはずです。
- お正月飾りはいつから飾るか、飾るのに適切ではない日
- お正月飾りの持つ由来や意味
- お正月飾りはいつまで飾るか
- お正月飾りの処分方法
今回はいつから飾るかなどお正月飾りのルールや飾る理由、処分方法などについて詳しく解説します。
正しくお正月飾りを飾って、気持ちよく新年を迎えましょう。
お正月飾りはいつから飾る?
お正月飾りは12月13日の「正月事始め」を過ぎてから飾ります。
昔、江戸城ではこの日に一年のチリやホコリを落とし、お正月に年神様を迎えるための「すす払い」と呼ばれる行事をおこなっていました。
このならわしが民間にも伝わり、13日にすす払いの行事をおこない、お正月飾りを飾るようになったんだとか。
しかし、現代において13日は、まだまだクリスマスシーズンまっさかりの時期です。
そのため、一般的にお正月飾りは26日以降に飾るケースが多いようです。
お正月飾りを飾ってはいけない日
正月事始めである12月13日を過ぎれば、お正月飾りをいつ飾ってもよいというわけではありません。
次のように、お正月飾りを飾るのに適切ではないとされている日もあるので注意しましょう。
12月29日は「二重苦」でNG
12月29日は「苦」や「二重苦」を連想させる「くんち飾り」といわれ不吉とされています。
おめでたいお正月飾りを29日に飾るのは避けましょう。
12月31日は「一夜飾り」でNG
大晦日である12月31日に飾るのは「一夜飾り」となり、元旦にやってくる年神様へ失礼にあたるとされています。
また、誰かが亡くなると一夜にして葬儀の準備が整うことから、一夜飾りは葬儀を連想させるためNGという説も。
お正月飾りは年末ギリギリになってからではなく、余裕を持って準備をしておきたいですね。
- お正月飾りは12月13日の正月事始めを過ぎてから飾る
- お正月飾りを29日、もしくは31日に飾るのは縁起が悪いので避ける
門松などのお正月飾りが持つ意味・由来、正しい飾り方
そもそもお正月とは、子孫繁栄や五穀豊穣をもたらすとされる年神様をお迎えする行事です。
そしてお正月飾りは、年神様という大切なお客様をお迎えするためのもの。
さらにそれぞれのお正月飾りにも、きちんと意味が込められているのはご存じでしたか?
それぞれのお正月飾りに込められた意味をみていきましょう。
「門松」は年神様が迷わないための目印
門松は年神様がいらっしゃるときに、迷子にならないようにと飾られるものです。
一対になった松や竹などを使って作られ、玄関の前に飾っておきます。
古来から松は「神様の宿る木」とされており、後になって長寿を意味する縁起物の「竹」が、さらに新春に咲く「梅」が添えられるようになったといいます。
昔は正月事始めの日に一家の主人が山に入り、竹を切り出してくるのがならわしだったんだとか。
昨今、一般家庭ではなかなか見かけなくなりましたが、小ぶりなサイズのものを飾っておくのもよいですね。
「しめ縄」は年神様にふさわしい神聖な場所の印
しめ飾りやしめ縄には、家の中は年神様をお迎えするのにふさわしい場所であるということを示し、邪気が入り込むのを防ぐとされています。
かつては神社のように家のまわりに張り巡らせていましたが、現代では簡略化され今のような形に落ち着いています。
用途や地域によってさまざまな形がありますがウラジロやダイダイ、ユズリハなど縁起のよい植物とともに飾られるのが一般的です。
「鏡餅」は年神様へのお供え物
鏡餅は家にいらっしゃった年神様の居場所として、神棚や床の間に飾られます。
現代では居間や玄関、台所などに飾るケースも多いですね。
人の魂を模して丸く作られ、神事に使う鏡と同じ形であったため、「鏡餅」と呼ばれるようになったんだそう。
古来より、鏡には神様が宿るとされてきました。
また大小2つのお餅を重ねるのは、「太陽と月」や「陽と陰」をあらわし、「円満に年を重ねられるように」といった縁起のよい意味も込められています。
「羽子板」は女の赤ちゃん、「破魔矢」は男の赤ちゃんの健やかな成長を祈るお飾り
戦後しばらくまでは「数え年」で年齢を数えるのが一般的でした。
生後初めて迎えるお正月は「初正月」と呼ばれ、赤ちゃんが一年無事に育ったことをお祝いする行事でもあったんだとか。
昔は現代のように医療や衛生環境、栄養面がよいものとはいえませんでした。
そのため、無事に初正月を迎えられることは、今に比べてはるかに喜ばしいものだったのは想像に難くありませんよね。
そのため、女の赤ちゃんの初正月には「羽子板」を、男の赤ちゃんの場合には「破魔矢」や「破魔弓」を飾ってお祝いしました。
羽子板は奈良時代の宮中遊びに由来し、「魔をはね(羽根)のける」という意味を持ち、魔除けの願いが込められているとされています。
また、破魔矢や破魔弓は中国の民間伝承に由来するとされ、羽子板と同じように魔除けや無病息災を願うものです。
あまり飾る習慣がないお飾りですが、赤ちゃんが生まれたらぜひ飾っておきたいですね。
お正月飾りにはそれぞれに由来や意味が込められています。飾る理由を知り、新年を神聖な気持ちで迎えましょう。
お正月飾りはいつまで飾る?
年末に飾ったお正月飾りは、「松の内」まで飾っておくのが正解です。
松の内とは、年神様がおられる期間のことで、門松を飾っておく期間のことを指します。
しかし、松の内と一概にいっても、地域によって次のように異なるため注意が必要です。
関東を中心に全国的には1月7日までが一般的
関東地方を中心に、現代では1月7日までを松の内とするのが一般的で、それにはこんな由来があります。
昔は1月15日までを松の内とし、1月20日に鏡開きをおこなっていました。
しかし、徳川三代将軍である徳川家光が4月20日に死去し、毎月20日が月命日となったため、1月20日の鏡開きを忌み日として避けるように。
そのため、徳川家のお膝元である関東地方では鏡開きを1月11日におこなうようになり、それにともなって松の内も繰り上げられて、1月7日に制定されたんだそうです。
関西と一部の地方では1月15日まで
しかし、関西や一部の地域では古くからのならわしの通り、1月15日までを松の内としています。
「松の内を変更した」という江戸からのお達しが正しく伝わらなかったのがその理由といわれていますが、大阪は豊臣びいき、京都は朝廷のお膝元という土地柄から、あえて従わなかったともいわれています。
さらに、江戸の大火事が影響したという説もあるんだとか。
また、1月7日や15日の他にも、3日や10日までなど、地域によってさまざま。住んでいる地域の松の内にまつわる由来を調べてみるのも楽しいかもしれませんね。
鏡餅は地域によって大きく異なる
鏡餅を下げる鏡開きは一般的に1月11日とされていますが、1月15日までを松の内とする地域では1月15日当日か20日におこないます。
また、京都やその近隣の地域では松の内は3日までとされるため、鏡開きは4日におこなうなど、地域によって大きく異なります。
ちなみに鏡餅には年神様の精霊が宿っているとされているので、刃物を使うのはNG。
木槌などを使って叩き割り、お雑煮やおしるこなどにして食べて一年の無病息災を祈ります。
- お正月飾りは地域によって異なるが、基本的には松の内まで飾る
- 松の内は関東を中心に一般的には1月7日、関西や一部の地域では1月15日
- 鏡餅は全国的に1月11日の鏡開きの日に下げるが、地域によって大きく異なる
お正月飾りの処分方法
松の内を過ぎて飾り終えたお正月飾りはどうすればよいのでしょうか? 正しい処分方法を3つご紹介します。
1.どんど焼きで処分する
どんど焼きとは小正月(1月15日)に全国各地でおこなわれる、年神様をお見送りするならわしのことです。
地方や地域によって呼び名は変わり、どんど祭りや鬼火焚き、左義長などと呼ぶこともあります。
どんど焼きでは、地域の人々とともに田んぼや川べり、神社の境内などに竹や藁などでやぐらを組み、火をつけてしめ縄や門松などお正月飾りを焼きます。お年玉のポチ袋や古い年賀状などを焼くことも。
また、同時に串に刺した餅やだんごを焼きいて食べることもあり、どんど焼きは地域の子どもたちにも人気の行事です。
家庭で処分するのはちょっと忍びないと感じているなら、地域のどんど焼きに参加するとよいでしょう。
2.お焚き上げで処分する
都市部に住んでいてどんど焼きでの処分が難しい、地域のどんど焼きに参加できなかったなどの場合には、お寺や神社でのお焚き上げに持っていくとよいでしょう。
お焚き上げとは、思いのこもったものや遺品などをお寺や神社で供養やお祓いをおこない、焼却処分することです。お正月飾りもそのひとつに入ります。
ただしお寺や神社によっては、檀家や氏子からのみ受け付けていたり、一般からは受け付けていなかったりする場合もあるため、事前に必ず確認しておきましょう。
3.自宅で処分する
お正月飾りは自宅で処分することも可能です。
とはいえ、年神様をお迎えするために使ったものですから、粗末に扱わないようにし、できればきちんとお清めしてから処分したいですね。
大きめの白い紙を用意し、右、左、真ん中にお清めの塩を振り、その紙でお正月飾りを包んで廃棄するとよいでしょう。
パーツによっては燃えないゴミの場合があるので、その際は別に外して同じようにお清めして処分するとよいですね。
ちなみに自分で処分したからといって、年神様が怒って福を授けないようなことはないそうなのでご安心を!
自宅での処分でもきちんとお清めして、お正月飾りをお納めしましょう。
- 飾り終えたお正月飾りは地域のどんど焼きやお寺や神社のお焚き上げで処分しよう
- 自宅ではお正月飾りをきちんとお清めしてから処分しよう
まとめ
年神様をお迎えし、新しい年の健康や幸せを祈るために、お正月飾りは欠かせない存在です。これまでなんとなく飾っていたお正月飾りにも、それぞれ意味があったのですね。
また、いつから飾るか、どこに飾るかなど、正しい飾り方も知っておくことも大切。地域によって同じお正月飾りでも、異なる風習を持つ場合もあるので、あらためて確認してきましょう。
慌ただしい年末ではつい後回しにしてしまいがちなお正月飾りですが、できるだけ早めに新年を迎える準備とともに用意しておきたいですね。
- お正月飾りは12月13日を過ぎてから飾る
- お正月飾りを12月29日、31日に飾るのは縁起が悪いため避ける
- 門松やしめ縄などお正月飾りにはそれぞれ意味や由来がある
- お正月飾りは松の内まで飾っておく
- お正月飾りはどんど焼きやお焚き上げの他に、自宅でも処分できる
最近ではモダンなデザインのお正月飾りも増えており、どれを飾ろうか選ぶのも楽しいかもしれません。
しきたりやならわしを守るはもちろん、お正月飾りの持つ本来の意味を知り、新年への希望や周囲への感謝の気持ちを持つことが何よりも大切です。
お正月飾りを正しく飾り、気持ちよく新しい年を迎えたいですね!