手洗いで食中毒は予防できる?正しい方法をマスターして夏を乗り切ろう
食中毒を予防するには、手洗いが効果的です。
今回は、食中毒を予防するための正しい手洗い方法について解説します。
この記事を読めば、正しい手洗いをマスターして、暑い夏も食中毒なしで楽しく過ごせるはずです。
アルコール消毒液の効果についても解説するので、ぜひご覧ください。
手洗いで食中毒は予防できる?
食中毒の予防には、手洗いが欠かせません。
手洗いは、最も基本的で効果のある予防法です。正しい洗い方を実践することで、その効果はより高まるでしょう。
食中毒の原因は、主に「細菌」と「ウイルス性」の2種類があります。
細菌は、腸管出血性大腸菌(O157、O111など)やサルモネラ属菌など、夏場に多く発生。
ウイルス性は、代表的なものにノロウイルスがあります。以前は冬場に流行したウイルスですが、最近では人から人への感染が多く、1年中みられるウイルスとなっています。
食中毒は、温度や湿気の多い夏に発生するイメージですが、実は、1年中その危険性が潜んでいるのです。
食中毒予防の原則
厚生労働省では「食中毒予防の3原則」として、食中毒にならない3つのポイントを挙げています。
食中毒予防の三原則
- 「つけない」
- 「増やさない」
- 「やっつける」
中でも手洗いは、食中毒の菌を食材に「つけない」対策として重要な役割を果たします。
手洗いにより、そもそもの原因となる細菌やウイルスを落とすことで、食材につくリスクを減らせるのです。
人の手は、無意識にも色々なところにふれています。
こまめな手洗いが最も手軽で、コスパも時間もかからない有効な方法なのは言うまでもありません。
間違った手洗いが食中毒に逆効果な理由
手洗いは、食中毒の予防に効果があります。
ただし、それは「正しい」方法で洗った場合です。
いくら手洗いをしても、その方法が間違っていれば、残念ながら逆効果になってしまいます。
厚生労働省の資料によると、手に付着している約100万個のウイルスが、洗い方によって次のように変化しています。
手洗いの方法 | 残存ウイルス数(残存率)* |
手洗いなし | 約1,000,000個 |
流水で15秒手洗い | 約10,000個(約1%) |
ハンドソープで10秒または30秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ | 数百個(約0.01%) |
ハンドソープで60秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎ | 数十個(約0.001%) |
ハンドソープで10秒もみ洗い後、流水で15秒すすぎを2回繰り返す | 約数個(約0.0001%) |
出典:ロウイルスによる食中毒の現状と対策について-厚生労働省
※残存率とは、手洗いなしと比較した場合の数値
流水のみではまだ大量のウイルスが付着していますが、ハンドソープを使うだけで、その数はグンと減ります。
さらに、洗う時間やすすぐ回数を増やすと、付着しているウイルスの数がさらに減っていますね。
このようにしっかり洗うだけで、食中毒予防につながります。
また、次のことも意識して、食中毒の原因菌やウイルスから身を守りましょう。
- 濡れたタオルで手を拭かない
- 石けんの付いた手で蛇口を洗う
- 多くの人がふれる箇所(ドアノブ、電車の吊革など)を触ったら手を洗う
- 食器用スポンジやふきんなどをこまめに洗う・除菌する
細菌やウイルスは、どこにでも潜んでいるため、絶対にふれないのは不可能です。
ですが、何気ないことでも少し意識するだけで、手への付着を防げます。ぜひ今からでも、意識してみてください。
正しい手洗いを確認して食中毒を予防しよう!
食中毒にならないためにも、いま一度、正しい手洗いを確認してしっかりと予防しましょう。
ポイントは、「20秒・頻繁に・継続して行うこと」です!
- 正しい手洗いの方法
- 手洗いのタイミングはいつがベスト?
- ハンドソープや石けんがないと手洗いの効果は半減する?
それでは1つずつ見ていきましょう。
正しい手洗いの方法
正しい手洗いは、石けんやハンドソープを使います。
よく泡立てて、手のしわや指の間などにある細かい汚れや菌も、しっかりと落としましょう。
約20秒の時間をかけて、次の手順で手を洗います。
「ハッピーバースデー」の歌を2回くらい歌うと、ちょうどいいですよ!
- 流水でよく手をぬらす
- 石けんをつけ、手のひらをしっかりこする
- 手の甲を伸ばすようにしっかりこする
- 指先・爪の間を念入りにこする
- 指の間を洗う
- 親指をつかみ、手のひらでねじり洗いする
- 手首も忘れずに洗う
- しっかり水で洗い流し、清潔なタオルでふく
動画でも紹介されていますので、ぜひご覧ください。
次に挙げるのは、洗い忘れの多い箇所です。忘れずに洗いましょう。
- 指先
- 爪の間
- 親指
- 手首
- 手ひらのしわ
手のひらだけ洗っても、効果は半減します。手全体を、十分な時間をかけて丁寧に洗うのがポイントです。
手洗いのタイミングはいつがベスト?
手洗いは、「頻繁に・継続して」洗うのが重要です。手荒れしない程度に、気がついたらこまめに洗いましょう。
必ず手を洗いたいタイミングは、次のとおりです。
- 帰宅後すぐ
- 食事前
- 調理前
- トイレの後
また、次の場合も、できればすぐに手を洗いましょう。
- 多くの人がふれる場所を触った(ドアノブ、電車の吊革など)
- 生もの、加熱しない食材を触る前
- 盛り付けや配膳をする前
- 廃棄物、汚物を処理した後
理想は、気付いたらこまめに、石けんやハンドソープで手を洗うことです。
では、石けんやハンドソープがない、すぐ手を洗えない場合はどうしたらいいのでしょうか。
ハンドソープや石けんがないと手洗いの効果は半減する?
手に付着している菌やウイルスは、洗い方や洗う時間によって、その減り具合が変わります。
外出先などでハンドソープがない場合は、いつもより長めに流水でしっかりと手を洗いましょう。
先ほどの表をもう一度みてみると、流水だけでも手のひらの菌の大部分を洗い流すことができます。
また、近くに水道がない場合は除菌ジェルや除菌シートで手を拭いてから食事などをしましょう。
ただ、これはあくまでも間に合わせなので、水道が近くにあれば、流水で手洗いするようにします。
水洗いだけでは不安な方は、携帯用のハンドソープの購入も検討するといいでしょう。特に小さいお子さんがいるご家庭にはおすすめです。
手洗いとアルコール消毒液はどちらが食中毒予防に効果的?
常備している人が増え、その名前からも高い効果が期待できるアルコール消毒液。
食中毒の予防という観点から見ると「手洗い」と「アルコール消毒液」のどちらが効果的なのか気になりますよね。
結論から言うと、どちらも完ぺきとは言い難く、併用するのが最も効果的です。
持ち運びできる商品も多く出ており、外出時や手洗い場が近くにない場合に、アルコール消毒液は特に便利です。
例えば、
- 電車の中や会社の入り口など、水道や石けんが身近にない場所
- 手洗いが不十分だったり、冷たい水を嫌がる子ども
などの場面で、アルコール消毒液を塗っておけば、何もしないより予防効果はあります。
ただし、アルコール消毒液は、食中毒のひとつ「ノロウイルス」には効き目がありません。
ノロウイルスは、冬に多く発生する食中毒で、嘔吐や発熱など重い症状になる危険性もありますので、しっかりと手を洗って予防しましょう。
ちなみに、アルコール消毒液の最も効果的な使い方は、手がしっかりと乾いた状態で塗ることです。
手に汚れや汗、菌などが付着していると、アルコールが薄まって殺菌効果が半減してしまいます。
手の隅々まで行き渡るよう、量も多めにたっぷりと塗るのがポイントです。
まとめ
手洗いが食中毒予防に、果たして効果的であるのかについて解説しました。
飲食店や食品を扱い業者などでは、手洗いによる予防が推奨されています。
約1分ほど、しっかり時間をかけて洗うお店もあるようです。
もちろん食品を取り扱う業者ですから、食中毒予防を徹底することは当たり前のこと。でも家庭も同じですよね。
- 正しい手洗いは食中毒予防に効果あり
- 手洗いはハンドソープやせっけんを使うのが理想的
- 正しい手洗いとアルコール消毒液との併用で予防効果UP
夏だけに限らず、食中毒は年中起こる危険性があります。
普段当たり前にしている手洗いを少し意識するだけで、細菌やウイルスから身を守れます。
この記事を参考に、食中毒予防の観点から、普段の手洗いや生活を見直してみてくださいね。