【地域別】全国のお雑煮を一挙紹介!地域差によって変わるお雑煮の特徴も徹底解説!
お雑煮は地域によって、お餅のカタチや出汁の種類、具材が異なります。
馴染みのない地域では、自分が知っているお雑煮とは全く異なる料理になっていて、驚くこともあるかもしれません。
今回は全国のお雑煮と、そもなぜ地域によって差があるのかをお話ししていきましょう。
【地域別】全国のお雑煮を一挙紹介
実際に全国ではどのようなお雑煮が食べられているのでしょうか。
お餅のカタチや出汁、具材などにその地方によって大きく異なります。
北海道地方
日本でも北海道は、もともとお雑煮の文化がなかった地域です。
北海道に古くから根付いているアイヌ文化にはお雑煮がなく、さまざまな地域から開拓のために訪れた人々の文化が混じり合ってできあがったため、非常に個性的なものになっています。
- お餅のカタチ…角餅
- 出汁…鶏ガラの濃い醤油味で、砂糖を多めに入れ酒で整える
- 具材…鶏モモ肉/にんじん/玉ねぎ/かまぼこ
お餅は事前に焼かずに煮込むため、トロリとした食感になっています。
出汁は鶏ガラの濃い醤油味で、砂糖を多めに入れ、酒で整えるのが特徴です。
「肉じゃがの汁」のような、甘い味付けのつゆをイメージすると良いでしょう。
かまぼこは切り口が「つ」になっている「つと」を入れるのが多いようですが、ない場合はなるとで代用します。
東北地方
東北地方のお雑煮のお餅は角餅を使い、根菜を中心に具材をたっぷり入れるのが特徴です。
- お餅のカタチ…角餅
- 出汁…白だしや干し椎茸の戻し汁を入れたすまし汁、砂糖を加えるので甘め
- 具材…きのこ/にんじん/ごぼう/鶏肉/油揚げ
具材が多くなると汁が濁ってしまいがちですが、灰汁をしっかり取り除き、丁寧に仕上げます。
また、宮城県ではたっぷりの具材を細長く切るのが特徴で、「長く生きられますように」といった願いが込められているようです。
関東地方
使用する調味料や具材の量も抑えられており、とにかく質素でシンプルなのが、関東のお雑煮の特徴です。
- お餅のカタチ…角餅
- 出汁…すまし汁。関東風の醤油仕立て
- 具材…鶏肉/小松菜/かまぼこ
関東地方のお雑煮のお餅は角餅を使用し、焼くのではなく煮て調理する地域が多いでしょう。
だし汁に醤油と酒といった基本的な調味料で整えるため、素朴で優しい味わいです。
他にもすまし汁を用いる地域はありますが、その中でもとくに透き通っているのが関東の特徴です。
具は鶏肉と小松菜、それにかまぼこなどシンプル食材を少しずつ用います。
その一方で、北関東を中心に、里芋を入れてボリュームを出すところもあるようです。
中部地方
中部地方のお雑煮のお餅は角餅で、煮て調理をする地域が多くなっています。
- お餅のカタチ…角餅
- 出汁…鰹節や昆布を用いた、うまみを感じるすまし汁
- 具材…もち菜/鶏肉/かまぼこ
中部地方の代表的な地域として愛知県名古屋市があり、味付けは味噌味のこってりとしたものが好まれるイメージがあるかもしれません。
しかし名古屋市では意外にも、お雑煮にはすまし汁を使用します。
具材は鶏肉とかまぼこなど一般的なものですが、葉っぱには尾張地方名産の「もち菜」使うことも多いようです。
もち菜は別名・正月菜とも呼ばれており 、お雑煮のシーズンに出回ります。
生で食べられるほど柔らかく、クセのない味わいが特徴です。
近畿地方
近畿地方のお雑煮は、丸餅と白味噌仕立ての汁が特徴です。
- お餅のカタチ…丸餅
- 出汁…白味噌仕立て
- 具材…大根/にんじん/焼き豆腐/水菜
お雑煮の汁は、白味噌仕立てが一般的ですが大阪では
- 元旦は白味噌仕立て
- 2日以降は薄味のすまし汁
といったように日によって味付けを変えるところもあります。
この理由は、大阪が商人の町であることが由来とされています。
連日、同じ味付けのお雑煮を食べて「飽きないように(商いように)する」ためだとか。
またお餅も元旦は煮ますが、二日目には焼くと調理方法も変えていきます。
珍しいところでは「ユリ根」を入れることもあり、 京野菜である「水菜」も積極的に取り入れます。
中国地方
中部地方のお雑煮は、ぶりを入れるのが特徴です。
- お餅のカタチ…丸餅
- 出汁…鰹と昆布だしを用いたすまし汁
- 具材…ぶり/ほうれん草/紅白かまぼこ/海の幸
ぶりは出世魚の代表で縁起の良い魚のため、お雑煮にも入れるようになったと言われています。
その他にも彩りとして、ほうれんそうや紅白のかまぼこも使用します。
他の地域よりも海の幸を取り入れることが多いのが、中国地方の特徴だと言えそうです。
四国地方
四国のお雑煮はその県によってお雑煮の味わいが異なります。
お餅のカタチは丸餅と共通ですが、出汁は
- 愛媛県・徳島県…いりこ出汁
- 高知県…鰹と昆布出汁
- 香川県…白味噌仕立て
といったように各県異なります。
さらに香川県では、お雑煮にあんこの入った丸餅を使用することで知られています。
お雑煮の文化が日本に広がった当時、甘い味が最高の贅沢品だったためだと言われています。
具材は
- にんじん
- ほうれん草
- 豆腐
などシンプルな具材を用いることが多いでしょう。
四国地方はどちらかと言うと、おせち料理の方に重きを置いているため、お雑煮の具材に関してはシンプルな傾向があります。
九州地方
九州のお雑煮の出汁はすまし汁と共通ですが、中の具材は各県により違います。
- お餅のカタチ…丸餅
- 出汁…鰹節や昆布を使用し、薄口醤油やみりんで味を整えたすまし汁
- 具材…にんじん/ほうれん草/小松菜/鶏肉/各地域の代表的な野菜
例えば福岡県では博多の伝統野菜である「かつお菜」、熊本県では伝統野菜の「水前寺もやし」、阿蘇の名物「阿蘇高菜」など、その地域だけで味わえる食材を積極的に利用した、個性的なお雑煮が見られます。
また、鹿児島県では身近な食材であることから、大きな焼き海老の入ったお雑煮もあるようです。
濃厚な海老の出汁が鰹節や昆布だしとマッチして、口いっぱいに美味しさが広がります。
お雑煮に地域差があるのはなぜ?3つの違いを徹底分析
日本の代表的な正月料理であるお雑煮ですが、なぜこんなにも地域によって差があるのでしょうか。
その理由は、お雑煮が生まれた室町時代から江戸時代ごろまでさかのぼります。
お雑煮は神様に捧げたあとにいただく、ありがたい食事でした。
そのため、その地域の優れた食材を用いて調理したため、同じ「お雑煮」であっても、お餅のカタチや出汁、具材が異なるかたちで各地域に根付いていったのです。
次の項目からもう少し詳しく、お餅のカタチと出汁、具材についてお話していきましょう。
地域差1:お餅のカタチ
お雑煮に欠かせないお餅ですが、地域によってカタチが異なるのをご存じの方も多いはずです。
お餅のカタチは丸い形の「丸餅」と四角い「角餅(切り餅)」に分かれ、それぞれ西日本は「丸餅」、東日本は「角餅」とハッキリ分かれているようです。
出汁や具材にはそれぞれの地域によって内容が異なるお雑煮ですが、実は誕生した当初は、お餅のカタチは「丸餅」が主流でした。
鏡餅が丸いように、古くから丸は縁起の良いカタチだからです。
しかし江戸時代の江戸は、他の地域と比べると人口が多く、餅を丸めるだけでも手間がかかる作業でした。
そのため一つひとつ丸めるのではなく、まずはのし餅を作り、そこから刃物でカットする四角いお餅(角餅)に簡略化されていったのです。
この四角い餅の文化が、江戸から東日本に広がっていったのだと言われています。
地域差2:味付けや出汁
お雑煮の味付けの決め手となる汁は、すまし汁または味噌を使ったものが主になっています。
日本全国で見て見ると、透明なすまし汁の地域の方が多いようです。
しかし、実は誕生した当初は味噌味のみでした。
お雑煮が広がっていった際、最初は味噌味だったのですが、当時は江戸を含む関東地方では多くの武士が生活していました。
武士は縁起担ぎをすることが多く、「味噌がつく=失敗をして評判を落とす」ということを避けるために、味噌ではなくすまし汁のお雑煮を好むようになったのだとか。
しかし現在でも、関西と四国の一部地域では白味噌を使用しています。
これはお雑煮が広まった際、文化の中心地であった京都が白みそを使っていた名残です。
すまし汁と味噌以外でも、鳥取と島根の一部の地域では小豆汁のお雑煮を楽しむなど、場所によっては独自の汁を用いることもあるでしょう。
そのほかにもあご出汁やこんぶ出汁など、地方の食材をブレンドした出汁を取ることもあります。
地域差3:中に入っている具材
お雑煮の具材は、その土地の食材を用います。
海産物が有名な地域であれば、鮭やイクラなどを使うこともあるでしょう。
山の幸に恵まれている東北地方では、山菜やキノコ、根菜類が多く用いられています。
変わったところでいうならば、千葉県では海苔入ったお雑煮もあるそうですよ。
まとめ:お雑煮から地域の特産物や歴史がわかる
出汁や具材はその土地の特産物なのは分かっても、丸餅と角餅の違いが実は手間のかけ方だったとは驚きですね。
- 角餅は東日本、丸餅は西日本で使用されている
- お雑煮は神様にお供えする料理だったため、その地域でいちばんいい食材が用いられる
なんとなくお正月に食べているお雑煮ですが、味付けや具材を変えてみることで、食事が楽しみになりそうです。
まだお餅が残っている方は、自分の住んでいる地域とは違った味付けを楽しんでみてはいかがでしょうか。