春の彼岸とは?2021年の日程、お供え物についても解説
「彼岸」は春と秋で2回あり、お墓参りをしてご先祖を供養するための大切な期間になります。
ただ同じ墓参りをしてご先祖を偲ぶ「お盆」に比べて「彼岸」が何なのかがよく分かっていない方が多いのではないでしょうか?
また彼岸の期間は、毎年違うのをご存知の方は少ないでしょう。
- 2021年、春の彼岸の日程
- 春の彼岸ではなぜ墓参りをするのか
- 春の彼岸の迎え方
- 春の彼岸のお供え物には何があるのか
今回は彼岸の中でも「春の彼岸」に注目、2021年の春の彼岸の日程や彼岸の意味などを詳しく解説します。
春の彼岸について詳しく知りたい方はぜひご一読ください。
春の彼岸とは?
春の彼岸とは、春分の日を中日として前後3日間をあわせた7日間に行われる仏事のことを言います。
「春分の日」は毎年2月1日に翌年の日程が発表されるため、彼岸の日程も毎年変わります。
2021年の春の彼岸はいつから?
2021年(令和3年)春の彼岸の日程は、3月17日(火)から3月23日(月)までの7日間となっています。
春の彼岸にお墓参りをするのはなぜ?
彼岸とはあの世とこの世が最も近くなる期間ともいわれ、仏教では以下のように考えられています。
- 彼岸:あの世(死後の世界)→西の方角
- 此岸:この世(我々が今生きている世界)→東の方角
太陽が真東からのぼり、真西に沈む春分の日(春の彼岸)はあの世とこの世がもっとも近づく期間とされているのです。
あの世とのつながり強くなっている期間に、お墓参りを通じてご先祖様への感謝、供養をしようというのが彼岸なのですね。
だから彼岸にはお墓参りをするという流れになっているのです。
春の彼岸の迎え方
「春の彼岸にはご先祖に感謝を伝えて、供養する」とは言っても、具体的にはどのように迎えればいいのでしょうか?
- 仏壇の掃除
- お墓の掃除、お参り
- 彼岸法要、合同彼岸会に参加する
以下で詳しく見ていきましょう。
春の彼岸は仏壇の掃除をする
仏壇がご自宅にある場合は、仏具などの掃除をしましょう。
まずはご先祖様に「今から掃除します」としっかり伝えます。
そして、はたきで上から順にホコリを払っていき、そのあとは固く絞ったタオルで優しく拭きあげます。
掃除が完了したら、果物やお菓子などを供えて手を合わせましょう。
春の彼岸はお墓の掃除とお墓参りをする
お墓に着いたら、まずはお墓の掃除をしましょう。
墓石に水をかけて洗い流し、タオルでしっかりと磨いていきます。
墓石だけではなく、雑草を抜いたり、ゴミ拾いをしたり、お墓周りの清掃も忘れずに行ってください。
掃除が終わったら今度はお参りです。線香を上げて、お供えものをしてご先祖様にしっかりと感謝の気持ちを伝えましょう。
彼岸のとくに中日は霊園が混雑しやすくなっています。もし可能であればなるべく空いている時間を確認しておけば、静かにご先祖様を供養できるでしょう。
春の彼岸にお寺である彼岸法要や合同彼岸会に参加する
彼岸には、お寺で彼岸法要や合同彼岸会が仏事として行われます。
合同彼岸会に参加するには「お布施」が必要となり、3,000円~5,000円が相場となっています。
また、自宅にお坊さんをお招きして、お経を読んでもらうこともできます。その場合もお布施が必要となり、相場は30,000円~50,000万円となっています。
春の彼岸は自分自身の修行の期間
彼岸はご先祖の供養だけではなく、「六波羅蜜(6つの正しい行い)」を実践し「欲や煩悩から解脱して悟りの境地に達する」という修行の意味もあるのです。
六波羅蜜とは以下の6つの修行になります。
- 布施(ふせ):見返りを求めることなく、他人に分け与えることを惜しまない
- 持戒(じかい):戒律を守り、悪いことをしない
- 忍辱(にんにく):困難に耐え忍び、辛抱強くやり遂げる
- 精進(しょうじん):何事にも精一杯努力する
- 禅定(ぜんじょう):穏やかで動じない心をもつ
- 智慧(ちえ):物事を正しく判断し、深く理解しようとする
日頃から気をつけたいのですが、なかなか実践するのは難しいことばかりですよね。
ただ、彼岸の期間だけでも実践するように心がけましょう。
彼岸はご先祖様に感謝を伝えるだけではなく、この世にいる私たちが六波羅蜜を実践すべき期間でもあるのです。
春の彼岸にぼたもちやおはぎをお供えする理由
春の彼岸にぼたもちやおはぎをお供えする理由はさまざまですが、たとえば以下のようなものがあります。
- 小豆の赤色には魔除け、邪気払いの効果がある
- もち米とあんこを「合わせる」ことがご先祖と我々を「会わせる」という語呂になっている
- 当時は貴重であった砂糖を使うことにより、ご先祖に感謝の気持ちを伝えていた
どんな理由であれ、春の彼岸にぼたもちをお供えするのは、ご先祖へ感謝の気持ちのあらわれなのですね。
彼岸に供えるぼたもちとおはぎの違い
ぼたもちとおはぎって見た目が似てますが何が違うのでしょうか?
名前の違い
春の彼岸に作られるのは「ぼたもち」です。ぼたもちの名前は春の花である「牡丹(ぼたん)」が由来となっています。
一方「おはぎ」の方は秋の彼岸で作られ、おはぎの名前は秋のお花である「萩(はぎ)」が由来とされています。
大きさの違い
「ぼたもち」は牡丹の花のように大きく丸く、「おはぎ」の方は萩の花のように小さく細長い形で作られるのが特徴です。
あんこの違い
ぼたもちは「こしあん」、おはぎは「粒あん」で作られるという違いがあります。
春になると小豆の皮が固くなるので、粒あんのままでは食べづらいため、春のぼたもちにはこしあんが利用されているのです。
春の彼岸は精進料理を作ってお供えする
お彼岸にはご先祖の供養とともに、自分自身の修行という側面もあります。
手間のかかる精進料理を作り、仏前にお供えするとともに自分たちも食べるという、精進料理の修行をするための期間でもあるのです。
精進料理とは肉や魚は使わず、野菜、果物、海藻類を主に用いて作った料理になります。
しかし、野菜の中でもニラ、にんにく、らっきょうなど臭いのきつい食材は使いません。
また精進料理には以下のような細かいルールがあります。
- 5つの調理法(生・煮る・焼く・揚げる・蒸す)を用いなければならない
- 5つの味付け(甘い・辛い・すっぱい・苦い・塩辛い)をしなければならない
- 5つの色(赤・白・緑・黄・黒)を使った献立にしなければならない
- 素材は余すところなく使わなければいけない。
精進料理はただの菜食主義などではなく、食材に動物を使わないことにより「いのち」「殺生」について考えなおすための料理になっています。
しかし、野菜や果物も「いのち」になります。「自分が生きていくには、他のいのちを奪わないといけない」ことを知り、すべての食材に感謝の気持ちをこめて食べるようにしましょう。
精進料理のメニューに決まりはありませんが、赤飯や彼岸そば、うどん、精進揚げなどがよく作られます。
まとめ
春の彼岸は、ご先祖がいる「あの世」と我々が今生きている「この世」がもっとも近づく期間になります。
だから、春の彼岸にはお墓参りをしてご先祖を供養するのですね。
- 2020年(令和2年)春の彼岸の日程は3月17日(火)から3月23日(月)
- 春の彼岸の迎え方は「仏壇掃除」「お墓参り、掃除」「合同彼岸会の参加」などがある
- 春の彼岸では「ぼたもち」や「精進料理」をお供えする
春の彼岸は先祖に感謝するだけでなく、自分の修行の期間でもあります。
彼岸法要や合同彼岸会に参加して、ご先祖に想いを寄せて自分自身を見直してみるのもいいかもしれません。
また、彼岸はお墓参りをすることから家族や親せきが集まる絶好の機会でもあります。
ぼたもちや精進料理を囲んで、故人を偲ぶのもいいでしょう。
仕事や家事・育児で忙しい方も、今年の彼岸は1日でもいいのでご先祖に想いを寄せる時間を設けてみてはいかがでしょうか。