子供の医療保険メリットデメリットをファイナンシャルプランナーが徹底解説!加入すべき保険の選び方もチェック
子供を医療保険に加入させるかについて迷っている人は多いでしょう。
今回はそんな方のために、子供の医療保険のメリットデメリットをご紹介します。
メリットデメリットを知れば、子供に医療保険が必要なのかもわかりますよ。
生命保険会社出身のFPが、子供の医療保険についてメリットデメリットだけでなく、選び方についても解説しますので、ぜひご覧ください。
子どもの医療保険メリットを検証!
子供が医療保険に加入するとメリットがいくつもあります。
今回はその中から代表的な以下の4つについてご紹介します。
- 医療費以外の費用も補填できる
- 保険料が安い
- 貯蓄を切り崩さなくて済む
- 終身型なら一生涯の保障を子供にプレゼント
では、一つずつ詳しく見ていきましょう。
子供の医療保険に加入するメリット1:医療費以外の費用も補填できる
子供が入院した場合、「必要なのは治療費だけだから、そこまで負担はないのでは?」と思っていませんか?
入院すると、治療費以外にも多くのお金がかかってしまいます。
これらの費用は健康保険からは支払われないため、自分たちで準備しておかないといけません。
具体的には以下のお金がかかります。
- 差額ベッド代
- パジャマ等、身の回りの品の費用
- お見舞いに行く際の交通費
- (他に子供がいる場合)シッター費用、託児費用
とくに子供の入院の場合、大人が入院した時よりも頻繁にお見舞いに行くことになるでしょう。
それに伴い、交通費や他の子供の託児費用がかかることが予想されます。
また、病院によっては、入院している子供と一緒に食事をとれるところもあります。
その際の食事代は当然自己負担です。
もし、子供が医療保険に加入していたら、入院に付随する費用も保険の入院給付金から出すことができます。
子供の医療保険に加入するメリット2:保険料が安い
医療保険の保険料がどうやって決まるかご存知ですか?
年齢によって決まるのです。
年齢が低ければ低いほど、保険料が安くなります。
また、終身タイプの保険に加入すれば、保険料は一生涯変わることはありません。
たとえば、ある医療保険の保険料ですが、加入年齢によって次のようになっています。
年齢 | 月額保険料 |
1歳 | 1,335円 |
15歳 | 1,549円 |
35歳 | 2,443円 |
※男性・入院給付金日額5,000円コースで比較
このように、1歳と35歳とでは、毎月の保険料が1,108円も違います。
年間にすると約1万3,000円も変わってくるのです。
この違いが何年も続くと、数十万円の差となります。
もし、保険料負担を軽くしたいならば、子供のうちに終身型の医療保険に加入することをおすすめします。
子供の医療保険に加入するメリット3:貯蓄を切り崩さなくて済む
と思っている人も多いでしょう。
たしかに、貯蓄を崩せばいいかもしれませんが、その貯蓄は入院費以外の目的のために貯めているものではないでしょうか?
- 将来の学費
- マイホームの頭金
- 旅行のための費用
など、他に使うための貯蓄を入院費用に使ってしまうことになれば、将来の計画が大きく崩れることになるかもしれません。
医療保険があれば、貯蓄を切り崩すことなく、入院費用を準備することができます。
子供の医療保険に加入するメリット4:終身型なら一生涯の保障を子供にプレゼント
医療保険は保証期間によって定期型と終身型の2つに分けられます。
- 定期型…保障期間が「〇歳まで」「10年間」と決まっている
- 終身型…保障期間が一生涯続く
定期型は保障期間が終わっても継続の意思があれば、そのまま自動更新されますが、年齢に応じて保険料が上がります。
一方、終身型は保険料は変わることなく、解約するまで保障が続くのです。
子供の保険の場合、どちらの保険も親が契約者になり、保険料も親が負担することになるでしょう。
子供のうちに終身型の医療保険に加入しておくと、保険料が安くて済みます。
子供が成人後に契約者を変更すると、保険料が安いまま子どもが契約を継続することも可能です。
安い保険料で一生涯の保障をプレゼントできるというわけなのです。
子どもの医療保険デメリットを検証!
ここまで、子供の医療保険のメリットをご紹介しました。
「ぜひ、すぐにでも入っておきたい」と考えるようになった人もいるでしょうが、ちょっと待ってください。
子供の医療保険には注意すべき点やデメリットもあります。
そちらについても把握しておきましょう。
- 子供の医療費は公的医療保険で負担が少ない
- 子供のが入院する確率は非常に低い
- 医療保険の支払いにより、教育資金の貯蓄が滞る恐れ
では、詳しく確認していきましょう。
子どもの医療保険デメリット1:子供の医療費は公的医療保険で負担が少ない
現在の日本の健康保険の医療費の負担は
- 0歳~6歳(義務教育就学前)は2割
- 6歳~70歳の人は3割
となっており、かかった医療費をすべて支払わなくてもよい制度が整っています。
しかも、子供の場合は健康保険を利用しての2割、3割負担に加え、すべての都道府県、市区町村で医療費の助成を実施しています。
中には、18歳の年度末まで医療費助成がある自治体もあるほどです。(※医療費助成を受けるためには、所得制限がある自治体もあります)
そのため、子供の医療費に限っていえば、家計に大きな影響を及ぼすほどかからないのが現状です。
子供にかかる医療費よりも、医療保険の保険料の方が高くなってしまう恐れもあります。
子どもの医療保険デメリット2:子供が入院する確率は非常に低い
医療保険は入院、手術、そして入院後の通院時に給付金が支払われるものです。
つまり、入院や手術をしないと給付金は手に入りません。
ちなみに、子供の入院率は以下の表のようになっています。
年齢 | 入院総数 |
1~4歳 | 169人 |
5~9歳 | 86人 |
10~14歳 | 94人 |
15~19歳 | 113人 |
ご参考までに、45~64歳の入院率も見ておきましょう。
年齢 | 入院総数 |
45~49歳 | 398人 |
50~54歳 | 552人 |
55~59歳 | 758人 |
60~64歳 | 997人 |
ご覧の通り、子供の入院率は大人に比べ非常に低くなっています。
医療保険をかけていたとしても一度も使わずに成人を迎える可能性がとても高いというわけです。
毎月の保険料負担は少ないかもしれませんが、利用しない入院費のために保険をかけ続けることをもったいないと感じるかもしれません。
子どもの医療保険デメリット3:医療保険の支払いにより教育資金の貯蓄が滞る恐れ
子供が小さいうちから教育資金を貯めておきたいと考えているご家庭は少なくないでしょう。
貯めるのならば、なるべく、多くの金額を貯めたいのではないでしょうか。
しかし、医療保険に加入したら、保険料がその貯蓄の妨げになる可能性もあります。
たとえば先ほどご紹介した、1歳時に加入で毎月の保険料が1,335円の医療保険に加入した場合、年間の保険料は
1,335円×12ヵ月=1万6,020円
です。
これが10年間続くと
1万6,020円×10年=16万200円
15年で
1万6,020円×15年=24万300円
になります。
これだけの金額が貯蓄に入れられないとなると、かなり損した気分になるという人もいるのではないでしょうか。
子供の医療保険に入る際は、保険料の負担分だけ貯蓄が減ることについても考えておかないといけないのです。
子供の医療保険に加入するデメリット4:学校(幼稚園・保育園)には共済制度がある
という考えから医療保険を検討する人もいるでしょう。
ただ、学校には共済制度があり、学校関連の活動(体育の授業、部活動、遠足など)のケガについては、自己負担額に応じて給付金が支給されます。
そのため、学校関連でのケガが原因の入院費用については心配は不要です。
もし、医療保険に加入したら毎月の保険料負担が生じますので、よく考えてから申し込みましょう。
※幼稚園・保育園の共済加入の有無については、園に直接お尋ねください。
子供の医療保険の種類は?
子供が加入できる医療保険の種類には次のようなものがあります。
それぞれ、メリット・デメリットを押さえておきましょう。
子供の医療保険の種類 | メリット | デメリット |
終身医療保険 | 保険料が安い | 定期的に見直さないと、保障内容等が古いままになる恐れがある |
学資保険の医療特約 | わざわざ医療保険を探して申し込む必要がない |
|
親の生命保険の家族特約 | わざわざ医療保険を探して申し込む必要がない |
|
傷害保険 |
|
ケガの保障のみ。病気の保障はない |
共済 | 掛金が比較的安い | 医療保険に比べ保障を自由に設計できない |
それでは1つずつ見ていきましょう。
子供の医療保険1:終身医療保険
終身医療保険加入のメリット・デメリットは次の通りです。
メリット | デメリット |
保険料が安い | 定期的に見直さないと保障内容等が古いままになる恐れがある |
医療保険の保険料は加入年齢によって決まります。
そのため、子供が小さいうちに終身型の医療保険に加入しておくと一生涯保険料を低いままで抑えることができるというメリットがあります。
しかし、子供が小さいうちに加入した保険は年数が経つにつれて保障内容が古くなる可能性があります。
もし、加入する場合は数年ごとに見直しを行うことをおすすめします。
子供の医療保険2:学資保険の医療特約
学資保険に医療特約を付けることもできます。この方法のメリットとデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
メリット | デメリット |
わざわざ医療保険を探して申し込む必要がない |
|
特約として医療保障を付加すれば、別に医療保険を申し込む必要がありません。
別途、医療保険を探さずとも、保障を付けることができます。
しかし、学資保険を解約したら保障がなくなります。
また、子供が大きくなり学資保険の満期を迎えてしまった場合も保障がなくなります。
子供の医療保険3:親の生命保険の家族特約
親の生命保険の家族契約で子供に医療保障を付けるという方法もあります。
メリット | デメリット |
わざわざ医療保険を探して申し込む必要がない |
|
親の生命保険に家族契約を付加するという方法もあります。
こちらも医療保険を別に探す必要がありません。
ただ、こちらも親が生命保険を解約したら保障がなくなるという注意点があります。
なお、親が保険に加入し続けたとしても、子供が大きくなり、一定の年齢(22歳など)になると保障が外れるというデメリットもあります。
子供の医療保険4:傷害保険
傷害保険はケガの時に給付金が下りる保険です。
メリット | デメリット |
|
ケガの保障のみ。病気の保障はない |
医療保険のより保険料が安く、健康告知が少ない点はいいのですが、ケガの保障のみで、病気入院の際は保障対象にはなりません。
子供の医療保険5:共済
多くの人からお金を集めて、入院や死亡時にお金が給付されるという点は保険と同じですが、共済は営利目的はなく、会員向けの事業となっています。
原則として、加入する際は提供する団体(農協、生協など)の会員になることが定められています。
メリット | デメリット |
掛金が比較的安い | 医療保険に比べ保障を自由に設計できないことも |
共済は保険会社の医療保険に比べ掛金(保険料にあたるもの)は低めとなっています。
しかし、共済は保険会社の医療保険よりプランが少ない場合があります。自由に保証を設計したいという人には不向きかもしれません。
子供の医療保険は必要?ファイナンシャルプランナーが解説
さて、子供の医療保険が必要かどうかですが、結論からいうと「必要」といえるでしょう。
その理由ですが、2つあります。
- 健康保険や自治体の助成で医療費負担自体は少ないかもしれないが、差額ベッド代など付随する費用がかかる
- 将来、健康状態などで医療保険加入を断られる可能性もある
では、一つずつ解説していきます。
子供の医療保険が必要である理由1:健康保険や自治体の助成で医療費負担自体は少ないかもしれないが、差額ベッド代など付随する費用がかかる
健康保険や助成もあるので、医療費はそこまで家計の負担にはならなでしょう。
しかし入院や通院にかかるその他の費用―差額ベッド代や交通費などにかかる費用は自己負担です。
もし、入院期間が長引いたら、それだけ負担が増すことになります。
貯蓄が十分あればいいのですが、もしそこまでの貯蓄が準備できていない場合、家計に影響を及ぼすことになるでしょう。
そのような事態を避けるためにも、医療保険で準備しておくことをおすすめします。
子供の医療保険が必要である理由2:将来、健康状態などで医療保険加入を断られる可能性もある
医療保険は大人になっても加入できます。
しかし、その時に「健康診断や人間ドックで再検査をすすめられている」など、健康状態に問題があったとしたら加入できません。
子供であれば、健康状態に問題がない人も多いことでしょう。
そのため、早い時期の医療保険加入がおすすめされるのです。
子供の医療保険加入には、保険料が負担になる等の注意点もありますが、メリットの方が多くなります。
ぜひ、加入を検討しましょう。
子供の医療保険の選び方とは?4つのポイントをチェック!
子供を医療保険に加入させたい場合、どのようなものを選べばいいのでしょうか。
ここでは4つのポイントについてご紹介します。
ポイント1:保障期間は成人するまで
医療保険には、保障期間が「10年」など限定されている「定期型」と、保障が成人しても一生涯続く「終身型」があります。
子供の医療保険を選ぶのならば、終身型がおすすめです。
その理由ですが、将来の保険料負担を見ると明らかに終身型がお得だからです。
定期型の場合、加入時の保険料は終身型よりも安く済みます。
でも保障期間がきて更新するときに、保険料も年齢に合わせて更新され、加入時の保険料よりも高くなってしまうというデメリットがあるのです。
一方終身型は、加入時の保険料は定期型よりも高くなりますが、成人後も保障が続き、さらに保険料が変わらないので、長い目で見るとお得になります。
ポイント2:家計への負担を減らすなら掛捨て
医療保険には解約時に解約返戻金があるタイプと掛け捨てタイプがあります。
一般的に解約返戻金ありの方が掛け捨てより保険料が高くなります。
保険料が高くても、解約返戻金がある方がお得だ!と感じるという人もいるかもしれません。
ただ、残念ながら、解約返戻金があったとしても、支払った保険料すべてが戻ってくるわけではありません。
もし、家計への負担が心配というならば、掛け捨てタイプを選びましょう。
例えば、ある短期払い型の医療保険の場合、保険料の払い込みを完了した後に解約したとしても、戻ってくるのは入院給付金日額の10倍程度です。
入院給付金日額が5,000円の場合は5万円ほどということになります。
なお、保険料払込期間中の解約では返戻金はありません。
ポイント3:先進医療特約を付けるのをおすすめ
先進医療とは厚生労働大臣からの承認を受けた医療技術です。
非常に高度な医療技術のため、受けられる施設も限られています。
先進医療は主にがん治療に用いられています。
また、治療を受ける際の医療費はすべて自己負担です。
このような理由もあり、子供にはそこまでの保障は必要ないのでは?と思われるかもしれません。
ただ、今後、先進医療の範囲はますます広がってくるかもしれません。
がん以外の治療にも先進医療が用いられることも出てくる可能性もあります。
そのような将来に備えるためにも、子供のうちから先進医療特約も付加しておくといいでしょう。
ポイント4:子供には手厚い保障は不要
医療保険の中には入院給付日額を1万円や1万5,000円に設定できるものも少なくありません。
大人であれば、医療費やそれに付随する費用以外にも、仕事ができなくなった際の家族の生活費についても医療保険で補う必要があるでしょう。
そのため、なるべく給付金を高めに設定しておくことも大事かと思われます。
しかし、子供の場合、家族の生活費まで準備する必要はありません。
もし、医療保険に加入するのならば、入院給付日額の最低金額を備える程度で構わないでしょう。
親の保険の特約として加入するならば、3,000~5,000円ほど、子供を主たる被保険者として加入させるならば、5,000円ほどということです。
子供の医療保険、加入すべき具体的な保険は?
どのような保険を選んだらいいのか迷っている方のために、子供の医療保険としておススメの保険を2つご紹介します。
- 0歳加入時の月額保険料(終身払い):男性1,032円、女性1,093円
- 解約返戻金:なし(終身払い)
【保障内容】
- 入院給付日額:5,000円
- 1入院当たりの限度日数:病気・ケガ60日、糖尿病・肝硬変など120日
- 手術給付金:入院中10万円、外来2.5万円
- 先進医療給付金・一時金:あり
基本の入院給付金、手術給付金に先進医療給付金・一時金が付いたタイプの医療保険です。基本を押さえた保障を得られます。
ただし、女性特有の病気に対応する「女性疾病特約」への加入は16歳以降となっている点には気を付けましょう。
- 0歳加入時の月額保険料(終身払い):男性617円、女性682円
- 解約返戻金:なし(終身払い)
【保障内容】
- 入院給付日額:5,000円
- 1入院当たりの限度日数:病気・ケガ60日
- 手術給付金:入院中2.5万円、外来2.5万円
- 先進医療給付金・一時金:あり
保障をなるべくシンプルにして保険料を抑えたプランです。
ご紹介したものは「入院給付日額5,000円」ですが、3,000円にすることもできます。
まとめ:子供の医療保険は家計の負担が少ない+終身タイプがおすすめ
子供が医療保険のメリット・デメリット、そして選ぶ際のポイントについてご紹介しました。
もし、これから加入する商品を選ぶのならば、ぜひ保険料が安く家計への負担が少ないものを選ぶようにしましょう。
その中でも終身タイプを選べば、今後十数年間の親の負担だけでなく、将来の子供の家計負担も減らすこともできるはずです。
では、最後に子供の医療保険のメリットについて再確認しておきましょう。
- 子供の時に加入しておくと、保険料が安い
- 医療保険で医療費以外の入院時にかかる費用を補える
- 子供の入院時も家計を切り崩す必要がない
- 終身型に加入しておくと、子供の成人後に契約者を変更してそのまま保障を継続できる
医療保険は各保険会社から多くの種類が販売されています。
ぜひ、自分たちに合った物を探して、加入を検討してみてはいかがでしょうか。