外貨建て保険は危険?特徴とメリットデメリットを知ろう!
数多くある保険商品の中に「外貨建て保険」というものがあります。
通常の保険に比べ、利益が出るといわれていますが、リスクはないのでしょうか。
今回は外貨建て保険が危険といわれている理由と商品の特徴についてご紹介します。
加入を考える時に気を付けたいことについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
外貨建て保険は危険?特徴をチェックしよう
外貨建て保険とはどのような保険なのでしょうか。
まずは特徴を確認してみましょう。
外貨建て保険とは、保険料が外貨で運用されるという保険です。
通貨の種類は「米ドル」「豪ドル」「ユーロ」などです。
外貨建て保険の最大の利点は利回りが高い点といえます。ご存知の通り、日本は現在超低金利状態です。
反対に他国はそこまで金利は低くありません。
例えば、日本国債(30年物)の利回りは現在0.66%ですが、米国国債(30年物)の利回りは2.01%となっており、1.35%もの差があります。
これだけ見ても、外貨建て保険の運用益が高く出る理由がおわかりいただけるのではないでしょうか。
外貨建て保険の種類
外貨建て保険の種類は主に以下のようになっています。
- 個人年金保険
- 変額保険
- 養老保険
- 終身保険
これらの保険種類の名前を見ると、日本の保険とさほど変わらないように感じるでしょう。
確かに、終身保険ならば「万が一の時に保険金が支払われる」、個人年金保険ならば「設定した年齢に達したら、あらかじめ設定した金額を定期的に受け取ることができる」など、基本的な仕組みは日本の保険商品と変わりません。
では何が違うのか、詳しく見ていきます。
外貨建て保険の保険料支払い方法について
まずは外貨建て保険の保険料の支払い方に注目してみましょう。
外貨建て保険の保険料も日本の保険と同様に、毎月支払う「平準払い」と契約時に一度に支払う「一時払い」があります。
商品によって支払い方が決まっている場合は契約者の意思で支払方法の決定はできません。
このあたりも日本の保険と同じです。
では、外貨建て保険と日本の保険の大きな違いとは何なのでしょうか。
それは、外貨建て保険の払込保険料は外貨建てになっているという点にあるといえるでしょう。
外貨建て保険の保険料は「100米ドル」「100ユーロ」など、外貨建てで定められています。
日本の加入者が保険料を支払う場合は、その時の通貨レートで円に換算する必要があるのです。
そのため平準払いの場合は、毎月の払込保険料が違うという事態が起こってしまいます。
一方、「月1万円」のように円建てで保険料を支払える外貨建て保険もあります。
その場合は、円建てで支払ったお金を外貨に換算して保険料とします。
払い込んだ保険料は明確に分かりますが、保険金額の方が払込が終了するまで未確定のままです。
払込期間中、円高状態だった場合は予想以上に保険金額が少なくなってしまったということもあるため注意が必要です。
このような点から、外貨建て保険は
- 保険料を固定費として把握したい人
- 保険金額が確定していないと不安な人
には不向きかもしれません。
外貨建て保険の危険は避けられる?外貨建て保険のメリットをチェック!
外貨建て保険と日本の保険の違う点はご理解いただけたでしょうか。次は外貨建て保険のメリットについて見ていきましょう。
主に次の3点のメリットがあります。
- 利回りが高い
- 円安になると利益が出る
- 資産を分散して運用できる
それでは1つずつ見ていきます。
メリット1:利回りが高い
ご紹介した通り、日本の金利に比べ諸外国の金利は高くなっています。
数パーセント違うこともありますので、同じ保険料を払い込んだ場合、運用益が多く出るのがメリットです。
この点が外貨建てで運用するの最大のメリットといえます。
メリット2:円安になると利益が出る
外貨建て保険の保険金額は「1万米ドル」「1万ユーロ」など、外貨建てで支払われます。
しかし、外貨をそのまま受け取るわけではありません。
受け取りの際のレートで円建てに換算されます。
例えば、米ドル建ての外貨建て保険で保険金額1万米ドルを受け取る時の為替レートが
- 1米ドル=105円ならば1万米ドル×105円=105万円
- 1米ドル=110円ならば1万米ドル×105円=110万円
受取時点のレートがたった5円違うだけで、が受取金額が5万円も増えます。(※手数料等は考慮していません。)
円安になるほど利益が出るという点はメリットといえます。
これから長期間円安傾向になるはず、と判断したら外貨建て保険に加入することを考えてみましょう
メリット3:資産を分散して運用できる
保険会社によっては、同じ外貨建て保険をさまざまな通貨で運用できるようにしているところがあります。
もし、資金に余裕があるのならば、米ドルで100万円分、豪ドルで100万円分、ユーロで100万円分……のように、資産を分散して運用してみることを考えてはいかがでしょうか。
一つの通貨が円高状態になり、損失が出てしまっても、他の通貨が円安であれば利益が出る可能性は十分にあります。
また、日本の保険と外貨建て保険の両方を持つこともおすすめです。
日本の保険に万が一のことが起こり利益が得られなくなっても、外貨建て保険の方で利益を出せる可能性が残るためです。
投資国を分散して資産運用することはリスクの分散にもつながります。
そしてもう一つ、保険料を月々円建てで支払う時に限られますが、為替レートによっては月々のドル建て保険料が変化してしまいます。
円安では多く払い込むことになり、円高では少なく払い込むことになるのです。
ただ、この支払を長期間続けると、払込平均金額が下がることになり、円安・円高リスクを分散することができます。
厳密には「資産の分散」にはならないかもしれませんが、リスク分散という観点からは利用したい手法といえます。
外貨建て保険はやっぱり危険?外貨建て保険のデメリットも確認しよう
ここまで、外貨建て保険のメリットを確認しましたが、デメリットはあるのでしょうか。
以下の点について考えてみましょう。
- 為替リスクに要注意
- 為替手数料がかかる
- 運用成績の予測が立てづらい
それでは1つずつ見ていきます。
デメリット1:為替リスクに要注意!
外貨建て保険は、保険料を払い込んだ時よりも保険金を受け取る時の方が円安になっていたら受取金額が増えるという点を ご紹介しました。
しかし反対に、保険料を払い込んだ時よりも保険金を受け取る時の方が円高になっていたらどうでしょう。
受け取る保険金が予想よりも減ってしまいます。
為替の動きを正確に予測することは非常に難しいことです。
当てが外れて円高になってしまうと、損失を出す可能性もあることを覚えておきましょう。
デメリット2:為替手数料がかかる
「円建てで払い込んだ保険料を米ドル建てに変える」「米ドル建ての保険金を円建てに変えて受け取る」など、外貨建て保険では為替レートを利用する手続きが多くあります。
保険料の支払い、保険料の受け取りの場合は為替レートそのままの金額で交換することもあるようですが、途中で解約をして解約返戻金を外貨から円に交換してもらうのならば注意してください。
為替の交換手数料として、±50銭~1円ほどかかることがあるためです。
例えば、1米ドル100円の時に米ドルを円に交換する場合、1米ドル=100円で計算するのでなく、手数料が差し引かれた1米ドル=99.5円で計算しないといけないということです。
詳しく確認してみましょう。
解約し返戻金を受け取るために、1米ドル=100円の時に手数料50銭で1万米ドルを円に交換するとします。
その場合、1万米ドル×100円=100万円の受取ではなく、1万米ドル×99.5円=99万5,000円の受取になるということです。
この例では5,000円損したということになります。
加入したい外貨建て保険があるのならば、為替の交換手数料については必ず確認しましょう。
デメリット3:運用成績の予測が立てづらい
運用成績の予測が立てづらいのも外貨建て保険のデメリットです。
外貨建て保険は外国の通貨で外国の金融商品を使って運用を行います。
日本に住んでいると馴染みのない会社の株式等で運用することもあるかもしれません。
そのため、運用成績が見えずらいと感じる可能性もあります。
自分の知った金融商品で運用してもらいたい、という人は外貨建て保険は向かないかもしれません。
外貨建て保険の危険を回避するためにも商品選びは大切!
外貨建て保険のデメリットも確認ましたが、危険を回避する方法はあるのでしょうか。
商品の選び方、通貨の選び方から確認していきましょう。
どの商品を選ぶか?危険を回避する商品の選び方
「デメリット3」のところでもご紹介した通り、外貨建て保険は外国の金融商品を使って運用します。
日本の新聞等を見ても情報がない金融商品である場合も考えられるのです。
もし、危険を回避したい、と考えるのならば、日本からも情報を得やすい金融商品で運用している外貨建て保険を選びましょう。
例えば、主要国の国債などは情報が入りやすい金融商品です。
国債で運用していると明記している外貨建て保険を探してみましょう。
どの通貨を選ぶか?危険を回避する通貨の選び方
金融商品とも同じですが、馴染みのない通貨の場合、円高・円安のどちらに動いているか分かりにくい場合があります。
為替の動きが分からないと保険金や解約返戻金受け取りの際に、知らずに損をしてしまう可能性もあるためです。
出来れば「米ドル」「ユーロ」など、為替の動きの情報を掴みやすい通貨建ての外貨建て保険に入ることをおすすめします。
まとめ:外貨建て保険の危険性をよく知ってから加入を検討しよう!
外貨建て保険には「利回りが高い」「分散投資ができる」などのメリットがあります。
ただ、利回りが高いといっても為替の動き次第では受け取る保険金が減る可能性もあります。
この点には注意しておきましょう。
最後に、外貨建て保険の主なメリットやデメリットについて改めてまとめておきます。
- 利回りが高いため、日本の保険商品より運用益が出る可能性がある
- さまざまな国の通貨で運用できるため、分散投資が可能
- 保険金受取時に円高になっていた場合、受取金額が減る
- 解約返戻金受け取りの際、為替手数料がかかる場合がある
外貨建て保険は魅力が多い反面、リスクも多い保険商品です。
為替や海外の金融商品の知識も持ったうえで加入するようにしましょう。