古くて新しい食材『サツマイモの葉』!おいしくて栄養たっぷりの秘密とは
天ぷらに焼き芋、スイートポテトや大学芋など、毎日のおかずからスイーツまで幅広く活躍するサツマイモ。ビタミンCや食物繊維が多く含まれ、身体にもよい食材として知られています。
しかし、葉の部分もおいしく食べられ、栄養もたっぷり含まれることをご存知でしたか? 普段スーパーなどで見かけることは少ないですが、近年、芋ではなく葉を食べる品種が開発されたり、葉を使った加工品が作られたりと、サツマイモの葉にも注目が集まっています。
今回はサツマイモの葉をテーマに、その特徴やおいしい食べ方、家庭での栽培のポイントなどについて解説しましょう。
古くて新しい食材『サツマイモの葉』!
「戦中や戦後、食料が不足していた時代にサツマイモの葉を食べて飢えをしのいだ」といった話を聞いたことはありませんか? サツマイモは荒れて痩せた土地でも育てやすいことから、昔から人々を飢えから助けてきました。
そのようなイメージから、「おいしくなさそう」と思われるかもしれません。しかし台湾では「地爪葉(ディーグァイエ)」と呼ばれ、昔から庶民に愛されてきた野菜のひとつです。
また、沖縄では伝統野菜の「カンダバー(甘藷かずら)」の葉が昔からさまざまな調理法で食べられています。
サツマイモの葉に含まれる栄養成分
サツマイモの葉はおいしいだけでなく、芋の部分に負けないほどの栄養成分が豊富に含まれています。
食物繊維はもちろん、ビタミンやミネラルなどが多く、一般的な葉物野菜に比べても引けをとりません。青汁で有名なあのケールにも匹敵するほど!
なかでもとくにポリフェノールとルテインが多く含まれ、さまざまな効果が期待されています。
ポリフェノール
サツマイモの葉には抗酸化作用の強いポリフェノールが多く含まれています。血糖値を下げる、活性酸素を除去するなどの効果が期待できます。
ルテイン
カロテノイドの一種であるルテインは、ヒトの肌や眼に存在し、体内で作り出すことができないため、食品から摂取する必要がある成分です。
ルテイン不足は加齢黄斑変性症との関係性が明らかとなっており、サツマイモの葉などでたっぷり摂取することで防げるのではないかと期待されています。
芋ではなく葉が主役のサツマイモ『すいおう』
サツマイモの葉はおいしいだけでなく栄養もたっぷり。しかしなかなか市場に出回ることは少なく、そのまま廃棄されたり堆肥の原料となったりすることがほとんどです。
そこで開発されたのが、芋ではなく葉や茎、葉がらを食べるサツマイモ『すいおう』。農研機構九州沖縄研究センターが約6年の研究機関を経て開発し、現在では九州地方をはじめとする全国で栽培されています。
一般的なサツマイモの葉には青臭さやエグミが残りやすかったのですが、すいおうはそのような欠点を補い、より食べやすく改善をはかった品種です。
すいおう活用サイト『新しい力、「すいおう」をあなたに』
サツマイモの葉のおいしい食べ方とレシピアイディア
つづいて、サツマイモの葉をおいしく食べる方法についてお伝えしましょう。
火を通して食べると、葉っぱの部分にはモロヘイヤのようなとろみ、茎の部分はシャキシャキとした歯ごたえがあるのが特徴です。
生のままではクセがありますが、火を通すと食べやすい風味になります。噛むとほのかにサツマイモの甘みを感じられ、くせになる味わいです。
ただし、収穫後はすぐにしなびてしまい風味が落ちるのが早いため、できるだけ早く調理しましょう。すぐに食べない場合には、冷凍やペースト状にして保存してもOK。
家庭では次のようなレシピがおすすめです。
おひたし
葉の部分は軽く茹でておひたしにしましょう。厚みのある葉は食べ応えがあり、食感が楽しい一品です。
味付けは醤油やポン酢、白だしなどでお好みで。かつお節で和えたり、ゴマを振ったりすると味わいも深まります。
きんぴら
茎の部分を使ってきんぴらにするのもおすすめ。硬さがあるようなら筋を取り、下茹でしてから調理すると食べやすくなります。
ごま油を使えば風味やコクもアップ。鷹の爪をプラスしておつまみにしたり、ベーコンを入れて洋風きんぴらにしたり、アレンジも楽しいですね。
つくだ煮
茎の部分はつくだ煮にしてもおいしくいただけます。食べやすい大きさにカットして油で炒め、醤油、みりん、砂糖で汁気がなくなるまでじっくりと炊くだけです。
昆布や干し椎茸、ちくわなどお好みで追加しても。
また、つくだ煮が名産として知られる香川県の小豆島では、戦後身近にあったサツマイモのツルを使って作られることから始まったというエピソードもあります。
天ぷら
サツマイモの葉は、大葉や明日葉のように天ぷらにするのにもぴったりです。葉に水で溶いた天ぷら粉をまとわせ、片側だけを高温でカラリと揚げるのがコツ。
厚みのある葉はむっちりとしていて、甘みがあります。茎の部分を使ってかき揚げにするのもよいですね。
家庭でもサツマイモの葉を水耕栽培してみよう
サツマイモの葉はスーパーにあまり出回ることがなく、なかなか手にすることが難しい食材です。
そこでおすすめなのが、家庭での水耕栽培。サツマイモは養分の少ない痩せた土地でも育つ強い生命力を持つため、栽培するのは難しくありません。放っておけば育つ! と言われるほど。
また、サツマイモの葉はハートに似た形をしていてかわいらしいため、観葉植物代わりに水耕栽培するという方も少なくありません。見た目にも楽しめて、おいしく食べられるサツマイモの葉をぜひ育ててみましょう。
- サツマイモと、適当な大きさの容器を準備する
- 容器に入る大きさにサツマイモをカットする
- カットした面を下にして容器に入れ、1〜2cm浸かるほどに水を注ぐ
- 日当たりのよい場所に置いて発芽を促す
水は毎日替えて、腐らないようにします。1週間もすると、どんどんツルが伸びて葉が茂ってきますよ。
まとめ
多くの栄養分を含み、健康にもよいとされるサツマイモの葉。古くて新しい食材が今、大きな注目を集めています。
クセの少ない味わいや使い勝手のよさで、さまざまな調理方法で活躍すること間違いなし。芋掘りに出かけたら、ぜひ葉や茎も一緒に収穫するのがおすすめです。また、自宅で水耕栽培してみるのも楽しいですね。
サツマイモの葉で、新しいおいしさにチャレンジしてみませんか?